もうひとつの虹の橋
-Another thing Rainbow Bridge-


その子たちの中には、様子の違う子もいます
誰からも愛されることのなかった子達です
仲間達が一匹、また一匹と、それぞれの特別な人と再会し、
橋を渡って行くのを、うらやましそうに見つめているのです

もうひとつの虹の橋
この子達には、待つべき特別な人はいません
地上にいる間にそんな人とめぐり会わなかったのです

でもある日彼らが遊んでいると、
橋へと続く道の傍らに誰かが立っているのに気づきます
その人も他の人たちの再会をうらやましげに見つめているのです
生きている間、彼は愛すべきどうぶつと暮らした事がありませんでした
誰かを愛することも、誰かから愛される事もなかったのです

どうして彼はひとりぼっちなんだろうと不思議に思いながら、
ポツンとたたずむ彼に、愛された事のない子が近づいていきました
愛されたことのない子と愛されたことのない人が近づいた時、
ふたりは光に包まれ、奇跡が起こるのです

ふたりは、地上では巡り逢うことのできなかった、
出合うべき、特別なともだちだったのです
この虹の橋のたもとでふたつの魂はようやく出会い、
愛情と喜びに満ちた、大切なともだちとして巡り逢えたのです
彼らはともに虹の橋を渡り、もう二度と離れることはないのです


Author Unknown


犬の聖歌

-The Sacred Song-

この世の中では親友でさえ、あなたを裏切り、敵となる事がある。
愛情をかけて育てた我が子も深い親の愛を、すっかり忘れてしまうかもしれない。
あなたが心から信頼してる最も身近な愛する人も、その忠節を翻すかもしれない。

富はいつか失われるかもしれない。
最も必要とする時に、あなたの手にあるとは限らない。
名声はたった一つの思慮に欠けた行為によって瞬時に地に堕ちてしまうこともある。

成功に輝いてるときは、ひざまずいて敬ってくれたものが
失敗の暗雲があなたの頭上をくもらせた途端に豹変し、
悪意の石つぶてを投げつけるかもしれない。

こんな利己的な世の中で決して裏切らない恩知らずでも不誠実でもない
絶対不変の唯一の友はあなたの犬だ。

あなたの犬は、富める時も貧しき時も健やかなる時も病める時も常にあなたを助ける。
冷たい風が吹きつけ、雪が激しく降る時も主人のそばならば冷たい土の上で眠るだろう。

与えるべき食物が何一つなくても、手を差し伸べれば
キスしてくれ世間の荒波にもまれた傷や痛手を優しく舐めてくれるだろう。
犬は貧しい民の眠りを、まるで王子の眠りのごとく守ってくれる。

友が一人残らずあなたを見捨て立ち去っても、犬は見捨てはしない。
富を失い名誉が地に堕ちても、犬はあたかも日々天空を旅する
太陽のごとく、変わることなくあなたを愛する。

たとえ運命の力で友も住む家もない地の果てへ追いやられても
忠実な犬は共にある事以外何も望まず、あなたを危険から守り敵と戦う。
すべての終わりがきて、死があなたを抱き取り骸が冷たい土の下に葬られる時
人々が立ち去った墓の傍らには、前脚の間に頭を垂れた気高い犬がいる。
その目は悲しみにくもりながらも、油断なく辺りを見まわし
死者に対してさえも、忠実さと真実に満ちている。

Author Unknown



犬の聖歌
1869年 アメリカ ミズーリ州で起きた銃殺された猟犬を巡る裁判で
告訴した側の弁護士が主張したとされる文章が元だそうです。